毎日倹約してもお金が貯まらない人がいる一方で、好きなことにお金を使っているのに生活に困らない人もいる。いったい、両者の何が違うのか? お金に困らない人生を送るためには、支出を抑えるだけでなく収入を増やすことにも目を向けるべきだと、富裕層専門ファイナンシャルプランナーの江上治さんが言う。
「いまの日本は物価は上がるのに給料は上がらない。その上マイナス金利なので、銀行に預けていてもお金は増えません。しかも今後は人口減によって社会保険料や税金はさらに上がるといわれています。そんな中、細かな節約を積み重ねてわずかな支出を減らすくらいでは、いずれ太刀打ちできなくなるでしょう。
資産運用や転職、副業などの勉強のために本を買ったりセミナーに参加したりと、収入を増やすための“投資”も必要です」(江上さん)
2024年から始まる「新NISA(少額投資非課税制度)」は、金融庁がお墨つきを与えた投資信託のほか、ETF(上場投資信託)や個別株も非課税で、無期限で運用できるようになる。こうした新しい情報をキャッチして活用する柔軟さも、お金に愛される人になるために必要なステップだ。生活経済ジャーナリストの和泉昭子さんが指摘する。
「インデックス投信に毎月少しずつ長期で積み立てていけば、元本割れする確率はより少なくなります。自分のできる範囲で10年、20年と投資を続けるだけでも、節約しかしていない家庭よりもお金持ちになれる可能性はグッと高まります」
例えば「MSCIコクサイ」など海外株式のインデックスファンドに10年間積み立てた場合の利回りは、年約13%になる。作家の橘玲さんが語る。
「日本のように豊かな先進国は、夫婦共働きで散財しなければ、節約と積み立て投資だけでも、統計的には60才くらいで1億円の資産が貯まります。一攫千金に憧れるような人には夢がないと言われるかもしれませんが“つましく暮らせば万人に資産1億円の門戸が開かれている”という事実にこそ、夢があると言えるのではないでしょうか」