子供や孫に頼りにされるのはうれしいが、「ばあばとじいじの支援ありき」となれば話は変わってくる。気づけば老後資産のみならず体力もメンタルも削られてしまっていた──なんてことにならないために、孫との距離感を見誤らないよう備えたい。
子供と孫のために自分たちの生活が立ち行かなくなってしまっては共倒れにもなりかねない。まず金銭面での負担軽減のためには、「事前に予算を決めることが大切」だとファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんはアドバイスする。
「老後生活に必要な貯蓄額を計算し、そこから孫にかけられる金額を逆算しておくことです。特に退職金をもらったばかりのリタイア世代は、“これだけ貯金があるから大丈夫”と考えがちなので気をつけてほしい。
まずは退職後1年でどれだけ貯金が減ったかを計算しましょう。老後資金として、年間の赤字額の30年分くらいは必要です。葬式代や自宅のリフォーム代などの特別費も見積もって、残った額から孫にかけられる費用を計算します。
現役世代もローンの残高や老後に必要な貯蓄額を計算したうえで、孫にいくらかけることができるのかを算出しましょう。例えば、孫にかける年予算を10万円と決めたら、そこからお年玉やクリスマスプレゼントも支払う。予算を超えそうな場合はしっかり“ここまでしか出せない”と上限を伝えてください」
おもちゃよりも積み立て貯金
予算を決めたら、使いどころを考えることも大事だ。
「お菓子やおもちゃなど細かいものを買ってあげても、孫の記憶に残りにくい。また一度もらえば相手も期待するし、ちょくちょく払うことが癖になってしまいます。旅行や外食もたまの楽しみならいいですが、いつのまにか慣習のようになってしまうのは避けるべきです。
それよりも学資保険を利用するなど可能な範囲でお金を積み立て、ここぞというときにまとまったお金を渡す方がお互いのためになります」(畠中さん)