更改交渉はファームの選手から。大物選手の場合は予備交渉も
パ・リーグの元編成担当者はこう振り返る。
「かつての阪急ブレーブスでは、中継ぎ陣が“ブルペンで練習投球の数も査定対象にしてほしい。臨戦態勢で肩をつくっては出番なしの繰り返し。得するのは先発ばかりだ”と球団に掛け合い、球団が主張を認めたこともあった。人気のないパ・リーグの球団では『営業貢献』という項目も。スポーツ新聞への露出が多い選手はポイントが加算される仕組みです」
査定担当によって点数が弾き出されると、更改交渉の席には本部長クラスが出る。査定担当も同席するが、交渉が荒れると球団社長が飛び入りするケースもあるという。スケジュールを組んで選手を一人ずつ球団事務所に呼ぶことになる。元球団職員が言う。
「まずファームの選手から始めます。一軍経験もなく、球団側の提示通りの金額で契約するケースが多いため、1日10~20人といったペースで進められる。話が複雑な選手ほど後回しになっていきます。
大物の場合は、予備交渉をやるケースも少なくない。下打ち合わせしておけば、本交渉がスムーズに行くからです。交渉が難航する選手はだいたい決まっており、前任者からの引継ぎがある。ただ、球団としては駆け引きせず、ストレート勝負。ゴネられても額を上げられないという姿勢を貫くのが大原則。ひとりでも上げると、それをマスコミが報じて、次から次と保留者が出てくるから。ゴネることがわかっている特定の選手には提示額を低くして、交渉の幅を持たせている球団もあるようです」
本人が新聞の切り抜きを持ってきて、自分なりに説明するケースも少なくない。多いのは他球団の同期の選手の成績と比べて額が違いすぎると主張するケースだという。