現実的でお洒落な高級車
コンパクトカーとはいえ、キャビンに狭苦しさはありません。むしろ贅沢な仕上げと、ほどよい密着感が、心地よくすらあるのです。そんな空気感を全身で感じながら、ドライバースシートに座って走り出してみると、さらに満足度は上昇していくのです。アクセルを一気に踏み込むと、ディーゼルならではの、低速からの力強さを発揮して、粘り強い走りを実現してくれます。このエンジンは130馬力を発生する1.5Lのディーゼルターボエンジンで、トルクがある力強い走りと、21.0km/L(WLTCモード)という燃費を実現。ロングドライブを快適にリーズナブルにこなしてくれます。その独特の力強さは、市街地はもちろんですが、郊外やアウトドアフィールドでの走りでも、心強く感じるはずです。
急加速時を除けば、ディーゼルエンジン特有のガラガラ音はあまり気にならない点も、DS3を上質に感じさせてくれるポイントです。そして燃焼効率のいいクリーンディーゼルですから、ロングドライブ(高速+郊外路が走行距離の70%ほど)でも、ほぼカタログ値同等の20.4km/Lという燃費を達成してくれたのです。力強くそしてリーズナブル。正直に言えば最近、BEV(バッテリーEV)のレポートが目立ってはいますが、これだけの走りと充電のことを考えなくていい利便性を経験してみると「まだディーゼルもありだね」と思ってしまいます。
またドライブモードはエコ、ノーマル、スポーツ、マニュアルから選択でき、シーンに合わせた走りがセレクトできます。当然ながらSUVらしく、路面状況に合わせた「グリップコントロール」という機能も備わっていて「サンド」、「マッド」、「スノー」の3種類の走行モードも設定可能となっているのです。駆動方式はFWD(前輪駆動)のみですが、ハードなオフロードに乗り込まない限り、フラットダートや浅めの轍路面ぐらいなら、走り抜けることができるはずです。
さてこのDS3にはディーゼルエンジンの他に、1.2Lのガソリンターボエンジンを搭載した特別仕様車「パフォーマンスライン」があります。こちらは509万円からの「オペラ」よりも50万円ほどリーズナブルな457万円。ガソリンエンジンのスムーズな走りも魅力的です。また少し前まで「E-TENSE」というDSブランド初のBEVモデルもありましたが、現在選択できるのはエンジン車だけとなっています。ちなみに「E-TENSE」とは、BEVとPHEV(プラグインハイブリッド)を含めた電動車の技術のことを表しています。
確かにBEVの力強く静かな走行性は魅力もあります。しかしディーゼルエンジンにはガソリンエンジンを凌ぐ燃費の良さ、つまり燃料代の安さがあり、BEVと比べれば長距離ドライブの予定を圧迫する充電時間(1回30分)も不要です。つまりクリーンディーゼルのDS3オペラであれば、使い勝手もエコロジーやエコノミーでも、プレミアムでありながら現状では「ちょうどいい選択肢」となりそうです。