円安進行は、輸出関連銘柄の追い風となる一方、米ハイテク企業は、円安の要因である米金利上昇がネガティブ材料となることから、日本株への影響はまちまちだ。日経平均の寄与度が高く、2023年の相場をけん引した東エレクやアドバンテストは、ナスダック総合指数やSOX指数につられる傾向があるため、米金利動向は要注意となろう。今週11日にはFRBが重要視する経済指標である米・12月消費者物価指数の発表を控えている。可能性はさほど高くないと考えるが、仮にインフレ再燃につながる強い数字となった場合は、「早期の利下げ観測」から「追加の利上げ観測」に市場の見方が変わる可能性もある。日本の金融政策の正常化は3月以降というコンセンサスが固まりつつあることから、米金利は上昇しやすい地合いと言えよう。
大発会の東京市場では、新しいNISAスタートに伴い、銀行株やJTなど高配当銘柄の一角が強い動きを見せた。NISAの積み立て投資では、月初めを買付日として設定するケースが多いことから、高配当銘柄への資金流入がコンスタントに続くかは微妙なところだが、需給面では一定の効果はありそうだ。金融庁がHPで公開している23年9月時点のNISA(一般と積み立て)口座の利用状況をみると、昨年1月から9月までで株式市場には1.3兆円の個人投資家の資金が入っていることから、年換算を推測すると1.7兆円ぐらいとなる。新しいNISA導入によって、投資信託よりも株式を購入する割合が高くなるとは考えていないが、利用者増加に伴い個人投資家の資金が株式市場に昨年よりも多く流入する可能性は考えられる。
そして、個人投資家に人気が高い高配当銘柄のなかでも、銀行株への関心は高い。目先、早期の金融政策の正常化観測は後退したが、2024年に開催される日銀金融政策決定会合で、日銀は金融政策の正常化に踏み切る公算は大きい。金利メリット銘柄としても銀行株への関心は高いことから、2024年の注目セクターと言えよう。
今週にかけては、国内は、9日に12月東京都区部消費者物価指数、11日に11月景気先行指数、12日に11月国際収支、12月景気ウォッチャー調査などが予定されている。海外では、8日に欧・12月消費者信頼感指数(確報値)と11月小売売上高、9日に米・11月貿易収支、11日に米・12月消費者物価指数などが予定されている。