ドナルド・トランプ氏によれば、今年秋に実施される大統領選挙で自分が勝たなければ米国株は大暴落するそうだ──。SNS「Truth Social」上でのトランプ氏による12月30日の書き込みでは「株価が高い理由は、個人も機関も自分が今年の大統領選挙に勝つと信じ、そのように予想しているからだ。もし、負けるようなことになれば、株式市場は1929年の大恐慌よりもひどい大暴落に見舞われるだろう」と記している。
もっとも前回の大統領選挙の際にも彼は同じような予想をしているが、それは外れている。そのことをバイデン大統領から揶揄されると、トランプ氏は「株高は富裕層をさらに豊かにするだけだ」といった苦し紛れの反論をしている。
米国大統領にとって、株価の上昇は自身を評価する上での大きな基準となりえる。劣勢が報じられる民主党としては秋の選挙を前に今後、株式市場が堅調に推移することを願っていることだろう。
需給要因からみれば、バイデン政権下でのこれまでの株高には奇妙なところがある。FRB(連邦準備制度理事会)は2022年3月、国債などの保有資産を増やす量的緩和を終了し、2022年6月からは逆に資産を減らす量的縮小を開始した。さらに2022年3月から2023年7月にかけて、足早に政策金利を引き上げた。
金融市場から資金が吸収されれば株価は下がりやすくなる。また、金利が上昇すれば資金は株から債券へとシフトしやすくなる。しかし、NYダウは2022年10月に底打ちすると、その後、押し目を付ける局面もあったものの、現在に至るまで上昇トレンドを形成しており、今年に入り過去最高値を更新している。金融引き締め政策が実施される一方で、何らかの理由で米国株式市場に資金が流入し、それが株価を上昇させたとみることができよう。