バブルを招く2つめの要因は、「過剰投資など企業サイドの事情」だ。こちらも嚆矢はリーマンショックであるとA氏は指摘する。
「リーマンショック以降の金融緩和や中国での大規模財政出動を受け、多くの企業が景気回復を見越した設備投資や資源、生産への投資を進めました。しかし、景気は思ったほど回復せず、世界的な過剰設備、過剰資源、過剰生産に陥った。つまり、金融緩和によって資金はジャブジャブなのに、企業がこれ以上の設備投資をしようとしない状況が生まれた。余った資金が株式市場に流れやすくなっているのです。
加えて、最近の経営者は人件費や設備投資をケチり、自社株買いをして株価を吊り上げ、株主に経営を評価してもらおうとする傾向があります。やはり株式市場に資金が流入しやすくなっているといえます」
金融緩和により世界中で余剰資金が積み上がる一方で、すでに過剰な設備投資をした企業は株式運用に走る。2つの要因が絡み合い、きっかけさえあれば「バブル」となる下地ができていたとA氏は指摘する。
※週刊ポスト2017年1月27日号