子世代に「葬儀の経験がない」ことの弊害
70~80代の親が亡くなった際、相場などを全く知らない40~50代の子世代が少人数の家族葬を取り仕切ろうとして失敗することも多いという。前出・純空住職が言う。
「家族葬が広まったことで、“呼ばれない親族”が増えたわけですが、本来はそうした人たちのなかに“葬儀を何度も経験して手順や相場を知っている人”がいたわけです。うちの檀家さんでも、お父様が亡くなって長男が施主という時に、叔父さんが葬儀社と交渉したり、私にお布施の額を聞いてきたりされるケースではスムーズに進んでいる印象があります。そうした親戚がいなくて、施主が自分の家の宗派すら知らないまま進めるケースが最近は目立つが、相手が悪徳葬儀社だとやりたい放題になります」
少人数なのに「斎場が広すぎる」
国民生活センターに寄せられた相談例では、70代女性が業者に押し切られて大きな斎場を使うことになった結果、参列者が少なくて寂しい葬儀になったうえに150万円を請求されて支払いに窮したというケースも。現場の実態を前出・純空住職はこう証言する。
「読経のために式場に行くと、広い会場にポツンと祭壇があることや、寂しさを紛らわすために大きな祭壇にしたり供花をたくさん並べているケースが目立ちます。最初は意図的に殺風景なレイアウトにして、祭壇や供花のグレードアップの提案をする葬儀社もあるというから要注意です」
※週刊ポスト2024年2月2日号