弔いが葬儀で完結しないと面倒に
“知らせがなかった”と怒るのは、故人との思い出が深かった人だと考えられる。葬儀相談員の市川愛氏(市川愛事務所代表)が言う。
「そうした人には後から、“本人の強い希望だったため事後報告になったのは申し訳ないが、四十九日の法要にご案内します”といった申し出をして、お別れの機会を設けてわだかまりを解消する選択肢もある」
もっとも、そうした対応を増やしていくと残された家族の負担が大きくなることも見逃せない。
「葬儀が終わった後に訃報をお知らせした人から供物が送られてくるといったことにその都度対応するのも大変です。葬儀で完結できたほうが負担は少ない。その観点から考えても、“声をかけるべき人にかける”ことを実践できたほうがいいということになります」(吉川氏)
親は伝え方、子は聞き方を考える
実践するうえでは、親子の意思疎通が重要だ。前出・吉川氏はこう言う。
「そもそも、親の交友関係、近所付き合いなどを子が全く把握していないケースが多い。もちろん、子がいきなり“葬儀に誰を呼んだらいいか”とは聞きにくいと思うので、“何か困ったことがあった時に相談できる人を教えてほしい”といった聞き方をするとよいのではないか」
親の目線から言えば、「子供たちが困らないように伝えておく」ということだ。前出・市川氏はこう話す。
「葬儀に呼ぶ人について親に聞くというのは、子の側にどうしても罪悪感が生じる。見送られる側のご本人が、終活のなかで必要な情報を家族に伝えておく。それがいちばん角が立たない方法なのだと思います」
家族葬で家族を壊さないためには、家族の一人ひとりが相手のことを考えながら行動する必要がある。
※週刊ポスト2024年2月2日号