「自分が楽しめば見ている人も楽しいでしょ」
中尾が類いまれな才能を発揮するのは歌と芝居にとどまらない。情報番組『5時に夢中!』(TOKYO MX)の金曜コメンテーターとしても2009年から15年にわたって活躍している。
同番組の丹波忠寛プロデューサーが中尾を抜擢した理由を語る。
「芸歴60年超えの中尾さんは芸能界の生き字引のようなかた。番組の指針を担う柱のような存在になってもらえるのではないかとの思いから起用を決めたと当時のスタッフから聞いています。いつもフラットな中尾さんはいい意味で起伏がなく安定感抜群。番組と視聴者に安心感をもたらしてくださっています」
中尾が番組出演に際して心がけているのは、「とにかく楽しむこと」。
「自分が楽しめば見ている人も楽しいでしょ。コメンテーターと言ってもロクなことを言わないのだから、“本当にすみません、こんな番組で”くらいの気持ちで、あまり負担を感じる必要はないと思っています」
あらゆる話題に肩ひじ張らずコメントする中尾を、丹波プロデューサーは「超自然体」と表現する。
「番組中も番組の前後もまったく変わらず、スタッフにも分け隔てなく接してくれます。常に歩みを止めない姿勢が言動の端々から感じ取れ、メチャクチャ明るい太陽のような人です」
「長く生きていることが私の取り柄」
本誌が『5時に夢中!』への出演に密着したのは1月19日の生放送。通常、中尾は14時前に局に入るが、この日は前日まで山口県で仕事があったため、昼前に羽田空港に着いたその足で局に入り、近くの喫茶店で昼食を取った。その最中、居合わせた一般客と談笑する姿も「自然体」の彼女らしい。
14時前に局に戻って資料に目を通し、MCのミッツ・マングローブ(48才)やゲストの梅沢富美男(73才)らと挨拶を交わし、ディレクターたちと打ち合わせを重ねる。緊張したり特段気合を入れたりする様子もなく、粛々と確認を終えると穏やかな表情でスタジオに入り、そのまま生放送を迎えた。
まさにプロフェッショナルな仕事ぶりを丹波プロデューサーはこう評価する。
「中尾さんはどんな場面であっても、泰然自若で来た球をきれいに打ち返します。決して話を盛ったりご自身の経験を大げさにしゃべったりすることはありませんが、これまでの人生の深みがコメントから自然とあふれ出る感じがするし、自分の考えを自分の言葉で表現する的確なコメントにはいつも驚かされます」
そんな褒め言葉に対し、中尾は「年齢こそ私の武器」と静かに語る。
「専門的な知識があるわけでもない私の取り柄は、みんなより人生を長く生きていること。だから、自分が知っている範囲のことをコメントするだけ。昔は生意気と言われたけど、いまは同じことを言ってもありがたがられるのだから、年をとると生きやすいのよ」
18時に生放送が終了し、その15分後には出張用のスーツケースを引っ張り、疲れた様子もなく局を出た。その後ろ姿には風格が漂っていた。
(第2回に続く)
※女性セブン2024年2月8日号