「親の立場」でどうするのがいいか
木下氏も「制度を理解していれば、先回りして様々な策が講じられる」と指摘する。
「生前贈与を受けていた長男の側から考えると、次男から『特別受益』だと指摘されないためのやり方もあります。特別受益の持ち戻しというのは、“相続人が受けた贈与”に対して適用されるので、相続人ではない『孫』への贈与であれば原則的には無関係になる。親から長男ではなく、親から長男の子(孫)への贈与にしておけば、次男から特別受益の持ち戻しが必要と言われても、反論できるのです」
自分が望む相続に近づけるためには「遺留分」や「特別受益」などについての知識を身につけることが肝要ということだ。前出・吉澤氏は「親の立場」でどうするのがいいかについて、こう話す。
「親として、自宅を確実に長男に継がせたいのなら、まず遺言書にその旨を明記する。そのうえで、次男が遺留分を請求した際の手当てとして、長男を受取人と指定した生命保険に加入しておくことです。死亡保険金は遺留分の対象外となるので、その保険金を原資に長男が遺留分を支払うことができます」
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2024年2月9・16日号