今後求められる対策は2つ
こうした状況に対応するためには、各自治体の業務内容を見直さざるを得ない。これまでは業務の効率化を目的として近隣自治体が連携する「広域化」が進められてきたが、人口が激減する自治体同士が連携してみても限界がある。
今後求められる対策は2つだ。1つはデジタル化の一層の推進である。日本総合研究所によれば、すべての自治体が最もデジタル化が進んでいる自治体のレベルまで進捗すれば現在の77%の人数で現行の行政サービスを提供できるという。
もう1つは行政サービス自体の削減だ。どこまで自治体が行うのか、「行政がすべき仕事」の範囲について線引きをやり直すことである。民間事業者や住民に任せられることは、どんどん委ねることだ。
人口減少社会においては高齢住民が増え行政に依存する場面が増えよう。だが、職員や地方財源の縮小・不足を考えれば、自治体が住民の新たなニーズにすべて応えるわけにはいかない。それどころか、現在担っている業務をすべて続けることさえ難しい。住民同士の助け合いの推進とともに、政府には地方自治の在り方、制度を根本から見直す思い切った改革が求められる。
(前編から読む)
【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。主な著書に、ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)などがある。