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親が認知症になったとき不動産の管理はどうするか? 知っておきたい「家族信託」の仕組みと活用ポイント

契約を進めるうえで他の家族にも説明を

 家族信託の手続きは、まず公証人役場で契約書を作成し、法務局で実家などの不動産の信託登記をする。そして銀行で信託用の口座を作り信託の受託業務を始めるという流れだ。

「もちろん、自力で行なうのは手間がかかります。やってみたうえで難しければ、司法書士など専門家に頼むとよいでしょう」(牧口氏)

 注意点としては、家族信託の契約を進めるうえで、家族に説明するプロセスを省かないことだ。

「家族信託は親が自分の財産を子供のうち1人に任せるという契約なので、基本的には親子2人が合意すれば完結します。ただ、他の相続人が後から知るかたちになると“なんで2人だけで進めているんだ”といった揉めごとにつながるので注意しましょう」

 メリットの大きさに比べて家族信託はなかなか普及しないが、「単に知られていない面が大きい」と牧口氏は語る。

「何も対策をせず親が認知症になると財産凍結が待っているし、一度認知症と診断されたら家族信託は使えません。高齢者の2割が認知症になる時代に手をこまねいているのはあまりに非合理です」(牧口氏)

 家や土地を家族で有効活用していくうえでは、「相続の前」にやれることも多そうだ。

※週刊ポスト2024年2月23日号

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