働き方が多様化し、賃金アップへの期待が高まるなど、労働市場は大きな変化のうねりの中にある。そうした中で、「年齢バイアスのない職場づくり」のビジョンを掲げて注目されているのが求人情報サイト「バイトル」などを運営するディップ株式会社の冨田英揮・代表取締役社長兼CEO(57)だ。同社は昨年末から、ドジャース・大谷翔平選手(29)をブランドアンバサダーに起用し、テレビCMを放送。東京・渋谷の街頭広告や、冨田社長と大谷選手の対談動画をネットで公開したことでも話題を集めている。冨田社長が、大谷選手にオファーした経緯と対談時のエピソードを明かしてくれた。【前後編の後編。前編から読む】
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当社の社名は「dream(夢)」、「idea(アイデア)」、「passion(情熱)」の頭文字からとり、「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」を企業理念に掲げています。そのように経営の根幹にある「フィロソフィー」を、まさに体現しているのが大谷選手だと思い、オファーをしました。受けていただいたのは、私たちのフィロソフィーが大谷選手に刺さったからではないかと思いますね。
大谷選手との対談は、なにせ時間が限られていたので、打ち合わせなしの20分一本勝負で収録しました。移動式のモーターハウスのなかで撮影したのですが、現場に入ってきた途端、さわやかな風がふっと吹いてくるような感覚でした。
私が質問すると、「うーん」と一瞬考えながら、しっかりと答えてくれる。いい意味で本当に演技ができない方だなと思いましたし、自信を持ちながら謙虚な方だということが言葉の端々から滲み出ていました。
CMは多くの方から反響をいただきましたし、社員や家族のモチベーションも上がりましたね。正月に帰省した社員は、家族や友人から「あなたの会社すごいね」と言われているようです(笑)。考えてみると、大谷選手はまさに年齢バイアスなく全国民から好かれている存在ですからね。しかも世界で活躍している。
私たちも、海外展開はひとつの目標ではありますが、まずは国内のシェアを優先しています。