一方、NT倍率は16日終値ベースで14.66倍と、2021年7月以来の水準まで拡大している。半導体関連の東エレク<8035>やアドバンテスト<6857>や、半導体大手英アーム社を保有しているソフトバンクG<9984>など値がさ銘柄の一角が買われていることで、1月以降、日経平均優位の地合いが続いている。日経平均が史上最高値をつけた1989年12月末の東証一部全銘柄のPERが60倍台だったのに対して、2月15日時点の東証プライム全銘柄のPERは16倍台に留まっていることから、足元の株高は「バブル」ではない、と言えるが、値がさの半導体関連銘柄への一極集中買いで上昇している日経平均は、脆さがあると言えよう。
今週21日には、米半導体大手エヌビディアの決算発表を控えている。時価総額では、アマゾン、アルファベットを抜き、米国企業時価総額ではマイクロソフト、アップルに次ぐ3番目に浮上した。市場の期待感、関心が非常に強いなかでの決算発表のため警戒したいところだ。
為替水準も注意したいところだ。鈴木財務相は「急激な変動はのぞましくない、強い緊張感をもって相場を注視している」といった一般的発言に留まっているが、神田財務官は「最近の為替の動きはかなり急速」「必要であれば適切に対応する」「ドル円は一カ月で10円動いている」とよくある口先介入を行った一方、足元の相場動向を巡っては「ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に沿った部分と明らかな投機的な動きと両方ある」とコメント。また、金融政策に関しては「日本銀行の出した判断を尊重する」と語るなどやや歯切れの悪い発言も残した。
為替市場では、政府・要人による口先介入を受けて、積極的なドル買いは手控えられたが、1ドル150円台は維持している。為替介入を実施した際に想定される株安インパクトを考慮すると、「円安に伴う消費者物価指数の上昇に伴う国民の声」という大義名分がないと、円買い・ドル売りの為替介入は実施しにくいとの考えもできよう。トヨタ自<7203>など輸出関連銘柄への影響が大きいだけに為替水準は引き続き要注意だ。
今週にかけて、国内は、19日に12月機械受注、21日に1月貿易統計が予定されている。海外では、20日に米・1月景気先行指数、21日に欧・2月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)、米・1月FOMC議事録、22日に仏・2月企業景況感、2月製造業PMI(速報値)、独・2月製造業PMI(速報値)、欧・2月ユーロ圏製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、1月消費者物価指数(確報)、英・2月製造業PMI、サービス業PMI、米・週次新規失業保険申請件数、2月製造業PMI(速報値)、サービス業PMI(速報値)、コンポジットPMI(速報値)などが予定されている。