生前に誰が継ぐか決めておくこと
また、時に不動産以上に厄介なのが、先祖代々の「墓」だという。墓などの祭祀財産は遺産分割の対象ではなく、相続税もかからないが、それによって複雑な状況が生まれることもあるという。
「墓は一般的に長男が継ぐものとされていますが、法律でそう決まっているわけではない。墓の維持管理にはお金がかかるし、掃除などの手間もある。一方で相続財産に含まれないから、“墓を継ぐから他の遺産を多く相続させてほしい”という主張が通りにくいという一面があります」(吉澤氏)
こちらは、親の生前に誰が墓を継ぐかを話し合って決めておくかたちで解決を図ることになる。
「家族で墓参りするタイミングなどを作って、墓の継承について話し合うとよいでしょう。親子で話して、“長男が墓を継いで負担が生じる分、財産の相続は多くする”といった遺言書が残せれば、話がスムーズに進みやすい。結局、親の死後に、きょうだいだけの話し合いで決めるとなるとどうしても揉めるリスクが残るので、親の意思が形に残る遺言書を作っておくことが、結果的にきょうだいトラブルを回避する方策となるのです」(吉澤氏)
大人になってからの“きょうだいゲンカ”は、こじれると収拾がつかなくなる。だからこそ、回避する知恵が求められる。
※週刊ポスト2024年3月22日号