株式市場が好調だが、年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の直近の運用実績はどうなっているのか。また、GPIFの投資手法から投資家が学ぶべきことはなにか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第84回は、「GPIFの投資成績」について。
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わたしたちの大切な年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の第3四半期の運用状況が、2024年2月2日に公表されました。損益状況が悪化したときは大きく報道され、好調なときはなぜかあまり報道されません。良い時も悪い時も国民のひとりとして、しっかりチェックしておきたいものです。
2023年第3四半期の収益は5.7兆円
2023年第3四半期(2023年10~12月)の収益額は、5兆7827億円で、収益率は2.62%。2001年の運用開始からの収益額は、じつに132兆4113億円! 年率3.99%の収益率で運用されています。GPIFの中長期的な運用利回りは1.7%ですので、目標を十分に上回った収益率を確保しています。もちろん時期によっては、マイナスになることもあり、その場合は大々的にメディアで報道されますが、今回のようにプラスのときはあまり報道されないのはとても残念です。
GPIFの運用方針
GPIFのポートフォリオは、分散投資の王道の王道。国内株式、国内債券、海外株式、海外債券に4分割されています。ここ最近は、株式の上昇が目立ちますので、株式の割合がオーバーしているかと思いきや、2023年12月末時点でみると、ほぼほぼ理想の割合に収まっています。
資産ごとにプラスマイナス6~8%の乖離許容幅がありますが、それを超えた場合はリバランスされます。今後、大きく株式が上昇して割合が33%を超えてくると、リバランスの売りが出ます。巨額資金なので、数%の売却でも市場にそれなりの影響は与えます。そういった意味でも3ヶ月ごとのポートフォリオは確認しておく必要があります。