室井氏もこう言う。
「ピンポイントで照射する陽子線や重粒子線は、がんが転移していない患者さんには有効でも、全身に転移が広がっている末期の場合などは“焼け石に水”になることがあります」
近年話題の「免疫療法」も高額治療の代表格だ。室井氏が言う。
「免疫チェックポイント阻害薬『オプジーボ』を使う治療は、手術、化学療法(抗がん剤)、放射線治療に次ぐ“第4の選択肢”の地位を確立し、すでにいくつかの部位の治療で保険適用となりました。現在の薬価は10年前の発売当初から5分の1程度に下がりましたが、いまだに治療費の高さが課題であることには変わりありません」
成人への投与量は1か月(4週間)で480mgで、薬価は約22万円。上医師が付け加える。
「ほかの抗がん剤治療と同様、オプジーボも通院外来で点滴投与を受けられます。判断が難しいのは治療の“やめ時”。がんの縮小など効果が見られるうちは使用が継続されるのが基本で、1年以上にわたり投与を受ける患者さんもいます」
オプジーボの投与が1年続くと、単純計算で290万円近い治療費がかかることになる。
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