「投資」というと毎日の株価をチェックして売買を繰り返すイメージがあるかもしれないが、経済評論家・山崎元(はじめ)さんが提唱していたのが、それとは正反対の「一度買ったら後は何もしない」という運用法だった。日銀によるマイナス金利解除など投資環境が激変する今だからこそ、今年1月に亡くなった山崎さんの“ほったらかし投資術”に学ぶべきことは多い。【前後編の後編。前編から読む】
日経平均が4万円を突破するなど経済環境が大きく変化するなか、投資初心者でも簡単に大きなリターンを目指せる手法として改めて注目を集めているのが、「ほったらかし投資術」である。
投資先を設定した後は放置して、いつの間にか資産が増えている──そんな投資術の提唱者が、1月1日に65歳で亡くなった経済評論家の山崎元さんだ。2010年にインデックス投資ブロガー・水瀬ケンイチ氏との共著『ほったらかし投資術』(朝日新書)を発表。長きにわたって版を重ね続け、累計25万部の大ヒット作となっている。
個人向け国債は金利上昇局面に強い
投資先について山崎さんと水瀬氏は「平均的に年率5%のリターン」を見込める投資先を検討した結果、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称オルカン)が最適という結論に達したのだという。
オルカンを買えば、新興国を含む全世界の株式市場に分散投資でき、運用中にかかる信託報酬は年0.05775%と際立って低い。
「“夜空に広がる満天の星空をすべて買える”と表現する投資家がいるほど全世界の株式を網羅しているのでリスク分散力は抜群です。新NISAやiDeCoなどの税制優遇制度が整ったなかでオルカンを買える状況は、20年前の私が喉から手が出るほど欲しかった投資環境です」(水瀬氏)