中国の貿易構造は、依然として加工貿易のウエイトが大きく、それが約45%を占めている。輸出が今後、減少したとしても、加工貿易分については、原材料、部品などの輸入が見合いで減少することになり、中国側の減少分は付加価値相当分でしかない。アメリカの保護主義による影響は回り回って他国に及ぶことで中国への影響は軽減される。
では、アメリカに輸出しにくくなれば中国はどうするだろうか?
まずは内需を拡大させるだろう。中国のインフラは依然として不足している。鉄道、高速道路、航空を整備し、都市化を進めることで、現在とても非効率な中国の広大な土地、膨大な人口をより有効に利用することができる。内需拡大は長期的な成長を促すことになる。
次に、アメリカ以外の国への輸出を増やそうとするだろう。それは“一帯一路”(*)戦略の加速にもつながる。一帯一路戦略は双方向の貿易量を増やすといった趣旨である。関連各国の中にはアメリカに輸出しづらくなった分、中国に売ろうとするところも出てくるだろう。それを受け入れつつ、一方で資本を投下し生産を助けることで経済的な利益を得ることができる。
【※注:シルクロード経済ベルト(一帯)と21世紀海上シルクロード(一路)の2つのルートにおける中国の発展戦略】