欧州食品安全機関(EFSA)は2018年、紅麹由来のモナコリンKが「横紋筋融解症」や「肝機能障害」を引き起こす可能性があると発表した。
一方、今回の健康被害として多く報告されたのは「腎臓疾患」だ。小林製薬は特定の製造ロットから「カビ類から生成される物質と似た未知の成分が発見された」としており、毒性が疑われる成分が混入した可能性が高い。谷本医師が言う。
「今回の紅麹にモナコリンKが含まれるかは発表がないためわかりません。ただコレステロールを下げる効果を謳っています。サプリは紅麹の成分を凝縮した商品のためモナコリンKに近い成分はあるはずです。その副作用も考えられる。スタチン系薬はグレープフルーツなどとの飲み合わせが原因で副作用を起こすことがある。副作用について大規模に調べる医薬品と違い、サプリの副作用をくわしく調べる仕組みはなく、安全性の検証が不十分だったかもしれない」
【*追記:3月29日に、厚生労働省は小林製薬のサプリメントに「ブベルル酸」が意図せずに含まれていたことを明らかにした。今回の健康被害の原因物質かどうか、今後、解析を進めていくという】
「未知の成分」はどこから混入したのか。
「製造過程のどこかで外部から有害物質が入った可能性はあります。また菌類は発酵の過程で様々な成分を生み出すので途中で菌の性質が変化し、有害成分が発生した可能性も考えられる」(同前)
しかし、問題の紅麹を製造していた大阪工場は昨年12月に閉鎖されており、「衛生状態の確認ができかねる状況」(大阪市)だという。同社は成分検証に少なくとも1~2か月かかるとしており、不安はしばらく続きそうだ。