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小林製薬「紅麹」問題で露呈した“機能性表示食品”の闇 「メーカーが“科学的根拠”を届け出ればほぼ認められる」仕組みの問題点

「機能性表示食品」をめぐっては過去にもトラブルも報告されている(小林製薬の紅麹配合サプリ。同社提供/時事通信フォト)

「機能性表示食品」をめぐっては過去にもトラブルも報告されている(小林製薬の紅麹配合サプリ。同社提供/時事通信フォト)

国が効果を確かめ、認めているわけではない

 死亡が報告された5人が摂取していた「紅麹コレステヘルプ」は国が認める「機能性表示食品」。紅麹の成分を含む商品では初めての“お墨付き”で、消費者はそれを信じて購入していた。

 2015年4月に同食品制度が始まると右肩上がりで利用する企業が増え、2020年には「特定保健用食品(トクホ)」を上回った。生鮮食品を含むすべての食品が対象となることから表示品目が激増し、2023年の市場規模は6865億円に上るという。

「体に良い」といった食品表示は恰好の宣伝文句だが、消費者問題研究所代表で食品表示アドバイザーの垣田達哉氏は警鐘を鳴らす。

「トクホでは表示許可が下りるまでに国の審査があり、臨床試験を含めて効果や安全性が確かめられます。対して機能性表示食品はメーカーが“科学的根拠”を消費者庁に届け出ればほぼ認められるルールです。国が効果を確かめ、認めているわけではない。制度上、売り手は良い面ばかりを強調し、消費者側はそれに期待しすぎる側面がある」

 開発費用が1億円とも言われるトクホに比べて、手を出しやすいと言えるが、機能性表示食品をめぐっては過去にもトラブルが報告されている。

 2017年には都内に住む男性が「目に良い」とされるサプリを表示に従い1日2粒摂取したところ、2週間で全身にだるさやかゆみの症状が出て緊急入院。医師は「機能性表示食品による薬物性肝炎」と診断した。だが、同食品制度のガイドライン上、被害報告や注意喚起は事業者の判断となるため、商品名やメーカー名は公表されなかった。

 小林製薬は今年1月以降、複数の医師や患者本人から問い合わせを受けたことで、社内調査などを実施、結果を公表した。

 被害の拡大を受け、自見英子・消費者担当相は「機能性表示食品全6800品を緊急点検する」と言明したが、それで安全性は確認できるのか。

「各社が届け出た科学的根拠は世界中のデータベースで見つけた研究論文が主で、それぞれが実験データを持っているわけではない。有効性や安全性を徹底的に調べることは現実問題として難しいでしょう」(垣田氏)

 一日も早い原因究明が待たれる。

※週刊ポスト2024年4月12・19日号

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