15億円の日本橋の土地も塩漬けに
相撲協会の年寄は役職によって報酬額が違う。理事、副理事・役員待遇、委員、主任・参与、年寄の5段階に分かれている。宮城野親方は月額報酬100万1000円の委員から、78万4000円の年寄に降格して、約22万円もの減額とった。年収では約260万円も下がり、再雇用の親方(参与)より報酬額は低くなる。
宮城野親方の場合、3か月間はさらに20%の減給処分があるために月15万6800円が減らされて、月額報酬は62万7200円となる。役職によって賞与も変わり、委員と年寄では年間で約43万円の差がある。年収ベースではこの1年は約367万円も下がる計算になる(減給処分の影響がなくなる来年以降で考えれば約304万円ダウン)。
また、部屋を運営する親方には協会から運営資金が支給される。弟子を入門させると協会から補助金として力士養成費(幕下以下力士1人につき月7万円)、相撲部屋維持費(力士1人につき場所ごとに11万5000円)、稽古場維持費(力士1人につき場所ごとに4万5000円)と、力士1人につき年間180万円が支払われる。20人の力士なら年3600万円となる。宮城野部屋では十両の伯桜鵬を育てたということで支払われる養成奨励金の年間114万円もあったわけだから、計約3714万円を失うことになる。
宮城野親方自身の報酬の約304万円ダウンと合わせて年間約4000万円の減収となる。それが2年続けば約8000万円、5年で約2億円、10年で約4億円の損失となる。
もともと、旧東関部屋を間借りしていた宮城野部屋では、新たに部屋を建設するために東京・日本橋で土地147坪を購入している。評価額15億円とされるが、当面とはいえ部屋閉鎖で年内での引っ越し計画も立ち消えになった状態だ。現在は駐車場として利用されているものの、固定資産税も安くないだろう。北青鵬の暴力を放置してきた宮城野親方にとってはあまりにも大きい代償となった。
宮城野親方が失った収入の多くは弟子が転籍する伊勢ヶ濱部屋に支給されることになるが、約40人の大所帯になったマンモス部屋では新たなトラブルも予想される。その面倒に見合う額かは、ひとつ屋根の下で生活をスタートしてみないとわからない。