全国各地に一定規模以上の人口集積地をいくつ築けるか
繰り返すが、出産期の女性人口の減少は変えられず、総人口の激減も避けがたい。こうした状況を前提として考えるべきは、「既存自治体の生き残り策」を見つけ出すことではなく、「自治体の在り方の根本見直し」である。
今後、最重要ポイントとなるのは、住民が暮らしていく上で最低限必要なサービスの担い手をどう維持するかという視点だ。それには既存自治体の垣根を取り払い、人口集住を図って効率的な暮らしを実現していくしかない。全国各地に一定規模以上の人口集積地をいくつ築くことができるのかが問われているのだ。
「ふるさと」の消滅危機を嘆く前に、日本全体の生き残りをかけて挑むべきことがある。
(了。前編から読む)
【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。主な著書に、ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)などがある。