また、「プラザ合意」の再来を指摘する向きもある。これは、1985年に急激なドル高で疲弊した米国経済を立て直すため、日米欧の国際協調で人為的にドル安に誘導した為替政策のことを指す。当時、1ドル240円台だったドル/円相場は一気に円高が進み、1988年には1ドル=120円台とわずか2年半の間に円の価値は約2倍になった。
現在、アメリカのドナルド・トランプ大統領が「アメリカ・ファースト」を掲げ、自国内の雇用を増やそうとしているが、そのためにはドル高はなんとしてでも避けたいところだろう。仮にドル高が進行すれば、自国内で生産するよりも輸入したほうが商品が安く手に入ることになり、アメリカの雇用が創出されなくなるからだ。そうした意味で、トランプ政権下でもドル安へと誘導すべく「プラザ合意」的な政策を行なう可能性は十分ある。
「EU崩壊」、「米中貿易戦争」の脅威も
当サイトでも、経済の専門家にこれから起こり得るブラック・スワンを予想してもらったところ、前出の2つ以外に挙がったのが「EU崩壊」だ。ケイ・アセット代表の平野憲一氏がいう。
「カギになるのは、3月のオランダ総選挙、5月のフランス大統領選、9月のドイツ総選挙です。最初のオランダでもし与党が敗北し、極右の自由党が勝利すれば、その後ドミノ現象で反EU勢力の勝利という大きな流れに繋がっていく可能性があります。その結果、EUが崩壊すれば、ヨーロッパ経済は一気に弱体化するでしょう」