「そもそも完全変動相場制とは、経済学者が中国経済立て直しの処方箋として勧めている方法です。もちろんそれが実現すれば、一時的に人民元は大きく下落するかもしれませんが、為替レートを外国為替市場における需要と供給の関係にまかせて、自由化するほうが、中国にとってはいろいろな政策の縛りがなくなるため、経済はもっと安定するかもしれません。
中国景気はいまスローダウンしています。あえて言えば、フロート化にしてしまったほうが人民元の下落はあまり大きくならない可能性もありますし、かえって景気が安定して、日本も中国に輸出しやすくなるのではないでしょうか」
円高誘導が日本株バブルを発生させる?
次に、「プラザ合意」の再来はどうか。1985年のプラザ合意では米国経済を立て直すために急速な円高誘導が実施されたが、それがドル高の進むトランプ政権下でも実施される可能性がある。ケイ・アセット代表・平野憲一氏がいう。
「第2のプラザ合意で円高に決められてしまえば、日本経済が厳しくなることは間違いありません。それを防ぐべく、大量の資金供給をもっと続けなければならなくなり、そうなるとバブルが発生します。実際、1985年のプラザ合意後に日本のバブルは始まりましたからね。
前のバブルは半分以上が土地で、残りが株でしたが、今の状況では対象の土地がないため、とんでもない株高バブルになる可能性があります。しかし、資金循環の流れからいえば、円高で金利が上昇すれば、それに対抗する資産運用、資産防御として、“とにかく株を買う”という流れになるかもしれませんし、強い円で海外の資産を買うこともできます」