「ウザいと思われるのを覚悟で声がけ」
閉店時間を気にしない客のタイプはさまざまだ。神奈川県内の生活雑貨店に勤務する30代女性・Bさんは、「マイペースで買い物を続ける人」に手を焼いている。
「なかなか帰らないお客さんって、マイペースで買い物を続けるんです。『何かお探しのものはございますか?』と言っても、『ちょっと見てるだけだから』とゆっくり店内を回り、閉店時間になっても見てるだけ。本音を言うと、“それなら別の日にもう一度来てください”って思います」
なかなか帰らない客の対応策として、Bさんは「ウザいと思われても声をかけるしかない」と言う。
「お客さんに閉店を意識させるために、『閉店の5分前です。お買い物がある場合、早めのお会計をお願いします』と言いながら店内を回ります。レジを締めてしまうので、正直早く会計してもらわないと困るというこちらの事情が大きくて申し訳ないんですが、仕方ない。ウザいだろうなと思いますが、こちらも仕事です」(Bさん)
「ふざけるな客だぞ」には「警察呼びますよ」
飲食店の居座りはより深刻のようだ。都内にある飲食店勤務の40代男性・Cさんは、会計を済ませても居座る客に悩まされているという。
「ラストオーダーの旨を伝えて注文を取り、会計を先にもらいます。その後、やんわりと閉店時間を伝えると9割の客は帰ってくれます。ただ、なかなか帰らない客っているんですよね。『さっき金は払っただろ』『いいだろ30分くらい』とか……。正直、飲み食いしない客に場所だけタダで提供することになるので、店にとっては何のメリットもないです。片付け終わらないし帰りは遅くなって、従業員の時給もかかって余計なコストが発生します」
閉店時間後とはいえ、どうしても客に気を遣いがちだったCさん。現在は毅然とした態度で、客に接しているそうだ。
「やんわりした言い方では理解してくれない、ふてぶてしい客もいるので、『閉店です』と一人一人に呼びかけます。それでも帰らない場合、客席の照明をすべて消したことがありました。客から『ふざけるな客だぞ』と怒鳴られましたが、『警察呼びますよ』と言ったらさすがに帰りました。平和的に閉店できない時は、“闘い”なんです」(Cさん)
売り上げにつながらないのに、閉店時間を過ぎても居座られては接客業にとっては死活問題。店員たちは迷惑客に頭を抱えつつも、あの手この手で対応しているようだ。(了)