さらに、みんなが焦って株を売りたがる時こそ儲けのチャンスとの発想を持つと「【2】もっと買い増す」の考え方になる。
シゲルさんが積極的に取る「ナンピン買い(下落時の買い増し)」の手法は、成功した時の儲けが大きいという。
仮に、株価100円の銘柄を1株購入したとする。この株が50円まで値下がりした場合、売ってしまえば50円の損が確定する。しかし、そこでさらに100円を投資して2株を追加購入すれば、200円で3株購入できたことになる。1株あたりの購入単価が約66.7円まで下がり、株価が元の100円まで回復すれば、100円の含み益になるのだ。
「もちろん、すべての銘柄をナンピン買いしているわけではありませんが、改めて決算短信など企業業績を精査して、好業績が持続すると思える銘柄に絞って買い増す。投資家の間では『下手なナンピン、素寒貧』の格言もありますが、私は怖いことと思わない」
69年間、続けてきたこと
新NISAでは米国の株価指数「S&P500」に連動する投資信託なども人気を集める。
そうした投資信託も相場の下落時には同じ金額で多くの口数が購入できるため、長期的な上昇が期待できるなら、シゲルさんの理論が有効だと言える。
「初心者にアドバイスしたいのは、投資で資産を増やそうと思うなら、勉強を怠ってはならないということ。私は69年間、株の勉強を続け、常に『増収・増益・増配』であるかを重視して売買する株を選んできた。そうして将来的な上昇を見込んで買った株なら、暴落した際も我慢して保有し続けたり、買い増したりできるはず。よく株で儲けた人を『運が良かった』と言うけど、そうではない。運よりも勉強がモノを言う世界だと心得てほしいですね」
撮影/杉原照夫
※週刊ポスト2024年5月17・24日号