河合雅司「人口減少ニッポンの活路」

実は大都市圏ほど深刻な「空き家問題」 東京都では空き家の87%が共同住宅で近隣者への影響も懸念

2050年には5軒に1軒が「高齢者の1人暮らし」

 もう1つの要因は、1人暮らし世帯の増加だ。今後はこちらの要因のほうがウエートを増しそうである。

 国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(2024年)によれば、2050年の世帯総数は5260万7000世帯で、2020年(5570万5000世帯)より309万8000世帯少なくなる見通しだ。ところが、1人暮らし世帯は2020年の2115万1000世帯から2050年の2330万1000世帯へとむしろ215万世帯も増えるというのである。

 1人暮らし世帯の中でも、とりわけ伸びるのが高齢者世帯である。2050年には1083万9000世帯となり、1人暮らし世帯全体の46.5%に及ぶという。全世帯に占める割合で計算し直すと20.6%だ。2050年の日本は、5軒に1軒が高齢者の1人暮らし世帯という極めていびつな社会になる。

 1人で暮らしている高齢者の中には、別居する親族はいるという人も少なくない。しかしながら、今後は身寄りのない人が増えそうだ。未婚の高齢者が多くなってきているのである。その結果、空き家の拡大が加速する可能性もある。

後編につづく

【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。主な著書に、ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)などがある。

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