森口亮「まるわかり市況分析」

【伸び悩む日本株】日経平均の「PER17倍」は割高か割安か 3月期決算で1株益が下落するなか、市場が意識する“頭打ち水準”

 しかし、デフレ脱却による経済見通しの変化により、最近ではPERが15倍を超える水準でも成長期待が持続されるようになり、日経平均が4万円超えを達成できた大きな要因の一つと言えるでしょう。

 興味深いことに、日経平均が史上最高値を記録した2024年3月22日のPERは17.38倍でした。この数値は、成長期待が高まっている証拠とも解釈できます。株価収益率を通じて、マーケットの現在位置と投資家からの期待を読み解くことは、今後の投資判断のヒントになるでしょう。

成長継続が確認されればPER15倍以上でも割高とは見なされない

 決算発表の季節は、株価収益率(PER)に注目が集まる時期です。特に、主要企業が本決算を発表する4月後半~5月中旬は、前期の実績と併せて新たな期の利益予想が明らかにされます。これにより、PERの計算に用いられる1株当たり利益(EPS)が大きく変動する可能性があるため、特に重要視されます。

 もし決算を通じて1株益が増加していれば、前期から今期にかけての成長の継続が確認でき、PER15倍以上の評価を維持することが可能かもしれません。逆に、成長が確認できない場合、PER15倍以上は割高と見なされるリスクが高まります。

市場が意識しているPER水準

 3月期決算がピーク迎える以前の4月16日時点での日経平均の予想EPSは2306円でしたが、5月10日時点でのEPSは2236円に下がっています。

 この期間には、トヨタや東京エレクトロンといった主要企業が概ね決算の発表を終えています。

 この推移から、前期比と予想値との比較では成長が確認できなかったことが明らかになりました。その結果、現在のPER17.19倍が市場に割高と感じられている状況は、私だけでなく多くの投資家にとって共通の見解かもしれません。

 加えて、史上最高値を記録した日のPERが17.38倍だったことから、このPER水準が市場で頭打ちになりやすい可能性も意識されているでしょう。

 このように、決算時にはPERも含めた複数の指標を用いて企業の価値を慎重に評価することが、投資判断において極めて重要です。

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