米国の株式市場は再び史上最高値更新をうかがう動きを見せている。一方、日本市場は決算発表シーズンを迎えているが、日経平均株価は伸び悩んでいる。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんがPER(株価収益率)分析を用いて日経平均の動向を解説する。
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米国株式市場では、早期利下げの期待後退が一段落し、再び史上最高値更新が見込まれる動きを見せています。欧米個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんの主要な株価指数は新たな最高値を更新する場面も見られますが、日経平均株価は最高値(4万1087円)から3000円前後低い水準で推移しており、回復が鈍い状態です。そんな中、日本では決算発表シーズンが最高潮を迎えています。
この状況で浮上してきたのは、日経平均株価のPERに対する疑問です。市場ではしばしばPERが評価のバロメーターとして用いられますが、現在の株価水準と比較して適正かどうかについて、見解が分かれているようです。今回はこの日経平均のPER分析を深掘りし、その妥当性について考えを進めていきたいと思います。
株価収益率(PER)の指標としての意味合い
PERは、株価の割安性を評価する指標として広く用いられています。
この指数は、株価を1株当たり純利益(EPS)で割ることにより算出され、投資家が利益に対して株価が何倍で評価されているかを示します。日本市場においては、一般的にPER15倍を基準に、それ未満を割安、それ以上を割高と見る傾向があります。
2024年5月10日現在、日経平均のPERは17.19倍で、通常の基準から判断するとやや割高な状態にあると言えます。ただし、PER評価には「成長期待」という別の側面もあります。
株価は将来の利益を見越して動くため、予想される利益成長が期待できる場合は、PERが15倍を超えることも珍しくありません。
例えば、米国主要指数であるS&P500指数では、予想PERが20倍を超えるのが一般的であり、15倍を下回ることは近年ほとんどありません。これは米国市場が継続的な業績成長を見込んでいることの表れです。
一方、これまで日本市場でPERが15倍を超えることがあまりなかった背景には、長らくの景気低迷や不確実な景気回復が影響しています。