工場内はクリーンルーム並みの清浄環境が保たれ、ゴミも適切に管理されているという。では、混入の原因はいったい何なのか。工場の近くに住む住民はこんな話をした。
「工場から大通りを隔てた場所にあった大きなゴルフ場が昨秋閉鎖され、物流センターができるとかで4月に工事が始まりました。それで野生動物が動いてネズミが逃げてきたのかね、なんて近所では話しているんです」
外部から侵入したネズミが『超熟』の製造工程に入り込む余地はあるのだろうか。前出の別の工場の担当者が言う。
「多摩工場もクリーンな環境が保たれていたはずだから正直なところはわからない。ただ、『超熟』は仕込みから焼き上げるまでの生地の管理が大変で、機械では確認できない生地の変化を人の目で確かめます。通常のパン製造より工程や手間が多いから、注意を払っていてもそのどこかの工程で混入してしまうことはあるのかもしれない……」
敷島製パンは混入の原因をどう考えているのか。
改めて問うと、「混入経路は業者によって現在調査中ではありますが、直近1年間のモニタリング結果において、小動物の内部発生(繁殖)が確認できなかったことから、外部侵入の可能性が高いと考えております」(総務部広報室)と回答。同工場の『超熟』以外のライン稼働については、「本件は突発的な事案であり、施設全体での発生リスクは低いと判断しております。なお、当該工場内の全ラインについても調査し問題が生じた形跡がないことを確認済みです」(同前)とした。
製パンメーカー「異物混入」の歴史
製パンメーカーの「異物混入」は数年に一度、表面化している。
2022年には山崎製パンの名古屋工場で製造された『小倉ぱん』の一部にプラスチック片が混入した恐れがあるとして、自主回収を実施。北海道札幌市に本社を置く日糧製パンでも、2017年、道内の一部店舗で販売した食パンに金属片が混入した可能性があるとして自主回収している。
近年、「異物混入」があった別掲表の各社は、その後どのような対策を取っているのか。