日時指定したいなら「宅配便」
都内に住む会社員Bさん(30代女性)は、「どうしてもその日に届けたかったら、宅配便を利用する」と自身の郵送事情を明かす。
「まず個人でも会社でも、もう自分で郵便を出すことはありませんね。以前は請求書や契約書は紙でというパターンがありましたが、コロナ禍を経て私の周りではすべてデジタル化。契約書もクラウド上で済ませるようになりました。
どうしても紙で何かを届けないといけない場合、最近の郵便は集荷も減っていて、相手にいつ着くかわからない。目安の日数もいまいち心配なので、どうしても日時指定をして届けたいものは宅配便を利用します。もちろん郵便に比べて料金はすごく高くなりますが、仕方ないのかなと思う部分もあります。今となっては、そもそも日本全国一律数十円で届けてくれていたのがすごいような気もしますし……」
「年賀状離れ」加速か
今回の値上げを機に、年賀状を出すのをやめようと考えている人もいる。神奈川県に住む自営業Cさん(50代男性)はこう話す。
「世の中的には年賀状を出す人がかなり減っているようですが、私は自営業ということもあり、いまでも毎年100枚近くを出しています。仕事の取引先を中心に、親戚や学生時代の友人にも出しています。ただ、ここ5年くらいで私に届く年賀状は一気に減りました。年始の挨拶もメールで届くことがほとんどですし、そもそもお正月の挨拶の習慣自体もなくなりつつあります。
そう考えると、もはや紙の年賀状自体、相手にあまり歓迎されていないのではないかという気にもなっていたのは事実です。そこへ郵便料金の値上げですから、年賀状を出すモチベーションは下がりますね。本気で来年の年賀状は出すのをやめようかと検討しています。企業も含めて、値上げが年賀状廃止のきっかけとなるケースは多いのでは」
デジタル化が進み郵便物がどんどん減少していく一方で、燃料費や人件費は増えるばかり。赤字を克服するには業務の効率化や値上げは避けられないが、さらに利用者が減少する可能性が高いのが、現在の郵便事業の実情だ。単純に料金の問題だけでなく、郵便事業というユニバーサルサービスをいかにして維持していくかについても議論していく必要がありそうだ。(了)