キャリア

コスパ・タイパ重視の若者たちをも悩ませる「仕事の効率化」の息苦しさ 「オンライン会議導入で息抜き時間が消えた」「バブル時代のOLになりたい」

「効率化して空いた時間がヒマになるわけではない」

「技術革新によって仕事が楽になっていない」と感じる人もいる。専門商社勤務の20代男性・Cさんは、「もっと労働時間が減ってもいいはず」と言う。

「日々、会社ではこのツールを入れたら管理が効率的になるとか、こうすれば部署のこの経費はもっと削減できるとかいう話が飛び交っています。でも、そうして効率性を上げたら、空いた時間がヒマになるかと思ったら大間違いですよね。空いた時間に別の仕事が入るだけなので、昔より仕事量は増えているのではないでしょうか。

 1時間かかっていた作業が10分になると聞くと、飛びつきたくなるのは確かです。でも、自分だけが10分になるんだったらいいけど、みんなが10分になるわけで、しかもそのスタンダードが短くなることはあっても、もう長い時間がかかる方向に戻ることはない。一度効率化されたらそれが標準になる。本来もう少しゆっくり走りたいのに、常に追いかけられている感じがして、時々逃げ出したくなります」

 携帯がなかった時代を知る職場先輩の言葉が、Cさんの心に残っているという。

「『営業はサボれるのが醍醐味』だったそうです。今なんてスマホにGPSがついているし、チャットを見ていなかっただけで何をしていたのか追及されたりします。技術が進歩するほど、どんどん不自由になっているのは気のせいでしょうか」(Cさん)

 テクノロジーが労働を楽にした部分もあるかもしれないが、効率だけでは語れない側面もあるようだ。(了)

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