現実はそう甘くなく、“年収1000万円”を夢見て渡航したものの、日本へ帰国するパターンも少なくないという。大学を卒業後、すぐにオーストラリアへワーホリに行った女性・Aさん(23)は、たった3か月で日本へ帰国することになった。
「海外のほうがゆとりのある働き方で稼げると思って、国内では就職活動をせずオーストラリアに来ました。英語はそれほど得意ではないですが、『とりあえず行けばなんとかなるだろう』と思っていました。ですが、家はなんとかシェアハウスで確保できたものの、アルバイトはどこも採用してくれません。日本より物価が高いので準備していた貯金もすぐに底をついて……。なんとも言えない不安に毎日駆られるようになって、精神的に追い込まれました。早く日本に帰ろうと思っても、航空券代さえありません。親の反対を押し切って海外に行ったので、今さら泣きつくこともできません。結局、同じワーホリの仲間にお金を借りて、なんとか日本に帰国することができました」(Aさん)
「シフトが減らされても英語でうまく交渉できない」
運良く勤め先が見つかっても、思うように働けないケースもある。社会人を数年経験したのち会社を辞めてオーストラリアに来た男性・Bさん(27)は、日本食レストランのアルバイトの職についたが、日に日にシフトが減らされてしまったという。コロナが明け、日本以外の英語圏や他国のワーホリ希望者の増加により、英語が堪能な人が優先的に採用されるようになったという背景もある。
「英語はそれほど得意ではありませんが、社会人経験もありますし、アルバイトの仕事くらい乗り切れるんじゃないかという自信はありましたね。アルバイトの面接もすんなり通って、部屋も借りることができました。何の問題もなくオーストラリア生活を送れていたのですが、だんだんシフトが減らされていることに気づいたんです。オーナーに交渉したのですが、英語ができないのでうまく自分の言いたことが伝わっている気がしません。オーストラリアは働き口も減っていると聞きますし、辞めるわけにはいかないので、ずるずると今も同じ店舗で働いています」(Bさん)