幕下は年99万円、十両は年1320万円
関取の月給は以下のように決まっている。
・横綱:月300万円(年3600万円)
・大関:月250万円(年3000万円)
・関脇、小結:月180万円(年2160万円)
・前頭:月140万円(年1680万円)
・十両:月110万円(年1320万円)
幕下時代は無給で場所手当が年99万円(16.5万円×6場所)と勝ち星に対して奨励金が数千円から数万円支払われるだけだったのが、十両に昇進すると年1320万円の給料になるのだ。西十両14枚目と東幕下筆頭の「番付1枚」の差があるだけで、年収が10倍以上違ってくる。
月給以外にも、関取には本場所ごとに力士褒賞金(力士の基本給金に応じて支給される手当)が支払われる。角界独特の給与体系で、明治時代から続く制度だ。力士が番付に載れば3円の「持ち給金」と呼ばれる基本給金が設定され、本場所での勝ち越し1勝につき50銭が加算されて翌場所の持ち給金となる。幕下以下は初土俵からの積み重ねで増えていくが、十両に昇進した時点で一律40円となり、幕内になれば60円、大関昇進で100円、横綱昇進なら150円の持ち給金に引き上げられる。
勝ち越し以外にも、金星10円、優勝30円、全勝優勝50円などが加算され、この持ち給金を4000倍した額が本場所ごとに支払われる。持ち給金が60円の幕内力士であれば、24万円の特別手当が支払われるわけだ。ただし、これも十両以上が対象。幕下以下の力士にも持ち給金が存在するが加算が積み重なるだけ。関取にならない限り、力士褒賞金は支払われない。相撲ジャーナリストが言う。
「給与面はもちろんのこと、すべての面で十両に上がれば全く違う世界が広がっている。稽古場では白色の木綿の稽古まわしを締めることができるし、稽古後の風呂やちゃんこを食べるのも早い順番になる。衣食住すべてにおける番付による格差が、上を目指す励みとなる。そのため激しい稽古をして、土俵に上がれば最後まで諦めない粘り強い相撲を取る。多くの好角家が、“幕下上位の相撲が一番面白い”というのは、そういう必死さがあるから」