中国人民銀行はインターバンク市場金利を引き上げ始めた。中国の金融政策が緩和から中立に戻りつつある。
中国の金融政策は、銀行の預金、貸出金利に変更を加えたり、預金準備率を上げ下げして金融業界全体の資金量を変化させたりするといったやり方から、インターバンク市場における変更を通じて行うといったやり方に重点を移しつつある。
銀行預金、貸出金利を引き下げると銀行は貸し出しを増やす。しかし、その増加分は、貸し込みやすい業者向けの不動産融資や、短期的な株式投機向けの融資、購入者向けの不動産ローン、政治的な力が強い一部の大型国有企業向けの貸出などに集中してしまう。
その結果、不動産バブル、株式バブル、不要不急の投資、無駄な投資、重複投資が増える結果となってしまう。
“インターバンク市場の重要性が増している”というと、金融の自由化、市場化が進んでいるような印象を受ける。しかし、実際はそうではない。
インターバンク市場ではレポ取引(買い戻し条件付き取引)、リバースレポ取引(売戻し条件付き取引)などを通じた公開市場操作が行われているが、これはあくまで銀行業界全体に対して影響を与える効果がある。一方で、2013年以降、規模が大きい上に人事面などから当局のグリップが効きやすい5大国有商業銀行などの特定大手金融機関に対してピンポイントで資金を供給する方法が導入され、多用されている。