田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国の金融政策に変化、緩和から中立へ向かう意味

 7日以内のレポ取引(SLO:Short-term Liquidity Operation)や、SLF(Standing Lending Facility、常設貸出ファシリティー)、PSL(Pledged Supplementary Lending、担保補充貸出)、MLF( Medium-term Lending Facility、中期貸出ファシリティー)など、1年未満の多様な期間の中国人民銀行からの貸出によって、流動性が供給する仕組みとなっている。

 個別銀行が対象である以上、中国人民銀行は各行が行う貸出の資金使途を監視・監督することができる。零細企業や新興企業向けの貸出や、インフラ投資、環境関連投資などの用途向けの貸出を選択的に増やすことができる。

中央テレビ局は「利上げには当たらない」

 中国人民銀行は2月3日、SLF( Standing Lending Facility)金利を引き上げた。オーバーナイト物は35BP引き上げ3.1%、7日物、1か月物はそれぞれ10BP引き上げ、3.35%、3.7%とした。また、同日行われたリバースレポ取引金利についても、各取引いずれも10BP引き上げた。

 SLF、リバースレポ取引金利が引き上げられたことについては、1月24日にMLF金利が引き上げられていたことから予想されたものの、オーバーナイト物が35BPも引き上げられたことについては大きなサプライズとなった。

 中央テレビ局は今回の中央銀行の決定について、「銀行などの金融機関の貨幣市場において行われたことで、直接、公衆や実体企業の預金貸出金利領域においてではない。今回の引き上げは、中央銀行が金融機関に提供する資金に対する金利であり、銀行による預金貸出金利の引き上げではない。だから、利上げには当たらない」などと説明している。

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