戸松信博の明日の爆騰株を探せ!

【注目銘柄】アマノ:強いキャッシュ創出力と盤石財務備えるニッチトップ

アマノ(6436):市場平均予想(単位:百万円)

アマノ(6436):市場平均予想(単位:百万円)

企業概要

 アマノ(6436)は、就業時間管理システムの国内最大手企業。就労管理情報システムのほか、駐車場・駐輪場システム、また集塵機、清掃機器のクリーンシステムも展開しています。

 国産初のタイムレコーダーを開発した企業で、1931年の創業から「人と時間」、「人と環境」をテーマに事業を拡げてきました。戦後公布された「労働基準法」によりタイムレコーダーが企業の必需品となるなか、旧国鉄から大口受注を獲得したことをきっかけに急成長を遂げました。現在では「働き方改革」を支援する企業として注目されています。

注目ポイント

 現在では、入退室管理システムをはじめ、人事労務管理システム、駐車場システム、また工場内輸送機や洗浄機などを取り扱っています。

 特筆すべきは、いずれの領域でもトップシェアを獲得していることです。出入口にゲートが設置されているゲート式駐車場機器は国内約60%、タイムレコーダーと就業管理システムで40%、そして業務用フロアポリッシャーなどの清掃機器で30%、粉塵を処理する集塵機で35%と、5つの領域で国内トップシェアを獲得しています。

 主力はパーキングシステムやタイムカードなどを展開する「時間情報システム事業」で、売上高の76%を構成します。この事業部門では、就業・給与・人事・入室・食堂システムを展開する「情報システム(売上構成比23%)」、タイムレコーダーを手掛ける「時間管理機器(2%)」、そして駐車場・駐車場管理システムや駐車場運営受託からなる「パーキングシステム(51%)」の3つのサービスを提供しています。 残りが工場の環境を改善する空気輸送システムなどの「環境関連システム」となっています(売上構成比は2024年3月期)。

政策をビジネスチャンスに飛躍、長年堅調な業績推移を維持

 同社は戦後公布された「労働基準法」をきっかけに成長した後も、1960年代・1970年代にも同様の成功を収めています。1957年の「駐車場法」の制定を機に、国内初の駐車場発券機、そして全自動料金精算機といった駐車場システムを開発・発売したことで事業領域を急拡大させました。

 2000年代にも、労働基準監督署の「始業就業時刻の確認記録徹底」指導の公布(2001年4月)、個人情報保護法の施行(2005年4月)と、政策による勤怠管理需要の高まりを追い風に売上を拡大させてきました。近年では働き方改革が追い風となっており、足元では改正電子帳簿保存法対応等のニーズを掴みデジタルタイムスタンプが好調に推移しています。

 政策を捉えた事業展開を行っていることにより、成長は長期間に渡っています。約20年前1997年3月期(売上高540億円)から見ると、売上は3倍近くに拡大しています(2024年3月期1529億円)。これまで業績が落ち込んだのは、リーマンショック後とコロナ禍という企業による投資が減少した2期のみ。基本的に堅調な業績推移が持続しています。

 国内での成功を基に1964年にはニューヨークに現地法人を設立。これを皮切りにM&Aを駆使して海外展開を進め、現在では、国内外に26の子会社を擁し、国内76、海外93の拠点数を誇る事業規模となっています。海外売上高比率は2000年に17%となり、今では44%に及んでいます(2024年3月期)。

ワンストップ提供を強みに、業務効率化、統合需要を享受

 M&Aは国内事業を強化する目的でも実施され、特に2013年のクレオというシステムインテグレータ事業会社の子会社化は業容拡大に大きくに寄与しました。この買収を機に就業から人事・給与・食堂・通信までのビジネスパッケージの販売が行えるようになったからです。現在では、就労管理システムにおいて、官公庁をはじめ一部上場企業から中小企業まで幅広い導入実績を持ち、業界8%、第2位のシェアを誇るまでになっています。

 人事・総務・会計関連を一気通貫で行えるERP(企業全体を一元的に管理するシステム)は、近年企業運営に不可欠となっており、大規模企業だけではなく、中小企業でも導入が進められています。大企業での就労管理は進んだように見えますが、中小企業はまだこれからというところです。様々な勤務態勢に対応していることや、高価格のパッケージ品だけではなく比較的低価格のクラウド型やカスタマイズ品まで幅広く取り扱っていることも強みとなっているようです。

 また、就業管理システムは、企業の合併・統合に伴うシステム統合需要においてもニーズが高まっています。M&Aは、業界再編から中小企業、国内企業、海外企業と規模は様々ですが、なかでも国内企業同士のM&Aが、後継者問題をかかえる中小企業を中心に増えており、追い風となっています。

駐車場運営をワンストップ提供:ストック型ビジネス

 ワンストップ提供は、同社の柱であるパーキングシステムにおいても受注獲得の武器となっています。

 駐車場需要の拡大は、駐車場そのもの(ハード)に対する需要に留まらず、ソフトや保守・メンテナンスとパーキングシステムに関わる全てに需要が発生するというのがポイントです。これらをワンストップ提供することで、複数の需要の受け皿となることができるからです。同社はハード面だけではなく、ソフトや運営も行っており、需要を獲得していける態勢にあると言えます。さらに今後においては、キャッシュレス化の進展に伴う決済手段の多様化やナビシステムとの連携などマーケットの広がりによる需要増も見込まれます。

 そして、管理・運営までを提供するパーキングシステム事業は、受託車室数が増えるほど利益が伸びやすいストック型のビジネスモデルであり、業績を底堅く支えます。2024年3月期においては27000台増加(3.9%増)しました。

【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。