夫婦の財産の内訳がわかる財産目録や、何よりも遺言書があれば手続きは難しくない。遺言書がない場合には法定相続人を全員集めて話し合いのうえ、遺産分割協議書を作成するなど手間が増える。
相続税の申告が終わった後も法改正により手続きが必須となった項目が増えた。不動産の名義変更だ。
「今年4月に義務化された制度で、不動産を相続したら被相続人から名義を変更(相続登記)する必要があります。相続登記は個人でもできますが、司法書士などのプロに任せたほうが無難です。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に行なう必要があり、怠ると10万円以下の過料が科せられる可能性があります」(同前)
一連の手続きについて、昨年7月、高校時代から連れ添った妻(享年69)を乳がんで亡くした歌手でタレントの円広志さん(70)が振り返る。
「没後半年間は本当に大変でした。そうした日々を経て徐々に落ち着いてくると、『そうか、妻とはもう会えないんだ』と寂しさを実感することがポツポツと出てきた。逆に言えば、手続きに追われる日々がなく、ひとりで何もやることがない状況だったら一気に落ち込んでいたと思います。死後の手続きは、少しずつ妻の死を受け入れて消化していくために必要な作業だったのかもしれません」
■【一気読み・保存版】死後の手続きカレンダー 死後1週間以内、1か月以内にやるべき手続きから、揉めない相続の手順まで
※週刊ポスト2024年7月19・26日号