一時円高に振れている状況とはいえ、依然1ドル150円を超える円安が続いている。その状況の中で、海外に需要がある企業の決算が好調だ。その中で注目すべき銘柄はどのようなものか。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が解説する。
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日本経済は円安の急激な進行により物価上昇が起こっている。そのために「悪い円安」という議論が噴出しているものの、その一方で、日経平均は最高値を更新するなどの株高状況で、喜んでいる投資家も多く生まれている。通貨安と株高の同時進行、これはまさにインフレの兆候と言えるものだ。
この円安環境で多くの外需企業は業績好調だ。外需に力を入れている企業は投資先としても高いパフォーマンスを期待できるだろう。今回は、7月に決算や修正を発表した企業の中から特に目立った成長を遂げた銘柄を3つ紹介する。
ファーストリテイリング(9983)
世界でも有名なユニクロブランドを擁し世界展開するファーストリテイリングは日本を代表する企業だ。同社は7月11日に2024年8月期第3四半期決算にて素晴らしい好業績を発表した。
9か月累計の売上高は2兆3665億円(前年同期比10.4%増)、営業利益が4018億円(同21.5%増)と大幅な増収増益となっている。同社の決算短信においても、「北米、欧州、東南アジアのユニクロ事業が大幅な増収増益と、好調な業績を継続していることに加え、当第3四半期連結会計期間の3カ月間は、日本のユニクロ事業が大幅な増収増益となったことで、連結で過去最高の業績を達成」と発表しており、時価総額が13兆円を超える大型企業とは思えないほどの成長となった。
今回の決算発表では、本業が絶好調であること、そして、海外事業が円安の恩恵を受けたことから、通期業績予想の上方修正、そして、配当の増額修正を行っている。これは株価にとって明らかに好感されるべき材料と言える。
ところが、実際の株価を見ると、この決算翌日の7月12日、16日、2営業日連続で下落しており、16日の終値は4万2470円で引け、決算発表前の7月11日終値の4万5340円から6%強の下落となっている。
同社は日経平均の寄与度が最も大きい企業であり、今後の日経平均の上昇を予想するのであれば、好業績で株価下落している今の状況は、「買い場到来」となるかもしれない。今後の同社の株価に注目したい。