人生後半に待ち受ける最初の難題が、身近な人を見送ることだ。死後の手続きには多くの落とし穴が待ち受ける。たとえば、故人の“相棒”の処遇。親の死後、「実家に残されたペットの引き取り」を巡り、トラブルが生まれるケースがあるのだ。今年5月に母が急逝した50代男性G氏の話。
「母は私が社会人になって独立した直後から室内でチワワを飼うようになりました。いま実家にいる犬は3代目になりますが、その処遇を巡り親戚を巻き込んだ問題に発展していまして……」
一番のネックはG氏の妻が犬アレルギーを持つことだった。
「うちで引き取れないので、いまのところ近所に住む私の従姉妹が預かり面倒を見ていますが、旦那が転勤族のため、転居先の住宅事情次第では『手放さざるを得ない』とのこと。母が元気なうちから万一の事態を考え、信頼できる引き取り先を探しておくべきでした」
処分に困る遺品をどうするか…
実家の片づけ、遺品の整理中にも想定外の事態に直面することがある。60代男性のH氏が言う。
「昨年、一昨年と父母が相次いで亡くなり、空き家となった実家を処分するため、妹とともに本腰を入れて片付けをすることになりました。そこで困り果てたのが、処分に困る遺品が出てきたこと。とりわけ扱いに悩むのが、父が長年かけて収集した大量の古書、母が子供のころから大切にしていたひな人形、嫁入り道具だった三面鏡です。はたして処分してよいものなのか。せめて、両親が存命中に意向を確認しておけば……」