大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

「タイミー上場」が象徴する働き方の変化 海外でも定着する「自分のスキルと時間を“バラ売り”するスタイル」

ビジネス・ブレークスルー(BBT)を創業し、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める大前研一氏

ビジネス・ブレークスルー(BBT)を創業し、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める大前研一氏

経営コンサルも様変わり

 これだけ仕事のやり方が変わってくると、経営コンサルティング業界も様変わりしている。

 私の古巣・マッキンゼーに最近の業務内容を聞いたところ、クライアント企業の当該部署のプロジェクトのためにコンサルタント数人を半年か1年派遣し、現状分析をしてやるべきことを考える、というブースター(補助推進装置)ブレインのような仕事が多くなっているという。経営コンサルタントもジグソーパズルのピースになったのである。

 私のマッキンゼー時代は、私自身がスタッフを引き連れてクライアント企業に乗り込み、トップと直接膝を突き合わせて中長期の戦略を考えていた。社内に“企業参謀”となる7人~30人の将来有望な社員を集めたチームを作ってもらい、その人たちを指導しながら将来計画を数年かけて立案するという手法で改革を推し進めた。長いスパンの場合は20年ほどのお付き合いになったクライアントもある。

 マッキンゼーのコンサルティング料は高額だが、値引きを迫られた場合は仕事を受けなかった。同業他社との相見積もりも断り、「今まで私が一緒に仕事をした会社を紹介するので、そこでどのようなやり方をするのか、結果はどうだったのかを聞いて判断してください」と婉曲的にお願いした。すると、たいがい仕事をもらうことができた。

 事前の提案書提出も拒否した。お客さんを知る前に市場にあふれている資料からわかったようなことを書いても現実味がないし、実際に仕事を進めていくと予期せぬ問題や改善チャンスが見つかる。それをトップに提案するのがコンサルタントの役目だと思っていたからだ。「社長をやってほしい」と頼まれることもあったが、私はあくまで外部ブレインとしてトップの戦略支援に徹してきた。

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