大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

「タイミー上場」が象徴する働き方の変化 海外でも定着する「自分のスキルと時間を“バラ売り”するスタイル」

 しかし、それも「今は昔」である。古き佳き時代は終わって経営コンサルティング業界は百花繚乱状態になり、前述した“バラ売り”と、コンサルティングだけでなくシステム構築から人材教育まで請け負うトータルサービスに二極分化している。ただ、後者も良し悪しで、企業の中に入り込んで仕事をしているうちに抜け出せなくなってしまうケースが多い。そうなると、企業側もコンサルタント側も保守的になり、変化に対応できなくなってしまう。

 これから日本はますます終身雇用やフルタイム勤務という従来の働き方から副業やマッチングサービスの活用が当たり前の時代になっていく。もはやこの流れは変わらない。その中で若い人たちはどうすべきか? 自分が提供できるスキルをリカレント教育などで磨きをかけ、マッチングサービスに登録すればよい。それでお呼びがかかって生計が成り立てば、自分の趣味や友人との付き合いなどを優先した人生を組み立てることができるだろう。

 そのほうが1つの企業にフルタイムで縛られて我慢しながら定年まで過ごすより、よほど楽しく、やりがいもあるはずだ。恋愛や結婚だけでなく、仕事も“出会い系”になったのである。

【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。ビジネス・ブレークスルー(BBT)を創業し、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『日本の論点2024~2025』(プレジデント社)など著書多数。

※週刊ポスト2024年8月16・23日号

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