オリコンやテレビ東京ホールディングスなどの大株主であり、上場企業の株式25億円以上を保有するという嶋村吉洋氏。現在は投資家、実業家、映画プロデューサーなど多くの顔を持つ嶋村氏には、高校を中退し、10代で社会に飛び出した過去があった。今に至るまでの歩みはどのようなものだったのか。話を聞いた。
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私が生まれ育った神戸という街は、一般の人が住むエリアと、富裕層が住む山の手エリアに分かれているのです。私の父は建築家で、お客さんである施主に山の手エリアの人たちが多かったのです。その関係で、私は幼い頃から普通の人たちの生活と、山の手エリアで暮らす富裕層の人々の生活の両方を見ながら育ちました。
山の手エリアの住民は経営者が多く、皆さん株や不動産の投資をやっていました。私はその方々に「将来はビジネスを立ち上げて投資をしなさい」ということを繰り返し教えていただきました。それで、中学校を卒業する頃には「自分で商売をして生きていこう」と決めて、学校にもあまり行かなくなりました。高校はすぐに行かなくなり、16歳で社会に出て働き始めたんです。
10代の頃はコンビニやパチンコ店でのアルバイト、飲食店や夜の仕事、ゴミの回収など、いろんな職を転々としました。投資家としてのスタートは20歳くらいの時です。お金をある程度貯めて、関西の証券会社に口座を作りに行きました。もうかなり前のことなので記憶が定かではなく、初めて買った銘柄とか金額とかは忘れてしまいましたけどね。