預金していた信用組合が潰れた手痛い経験
そうして私は商売の稼ぎに加え、ストック収入(所有する資産から生み出される収入)を得るようになったのですが、そこで社会の洗礼も受けました。当時は金利が高かったので、ある信用組合に預金していたんです。一部は定期預金にして、一部は「抵当証券」(土地や建物などの不動産を担保とした貸付債権を小口に証券化した金融商品)にしていたのですが、ほどなくしてその信用組合が潰れてしまったのです。
「世間は厳しいなぁ」と思う反面、一時はチャリンチャリンとお金が入ってきたので、「これが山の手の人たちが言っていたストック収入か」と、その旨みも実感することができました。少々痛い目に遭いましたが、私はやっぱりこっちの道に行くべきだな、とあらためて決意したのです。
投資家としての道を歩み始めた一方、私は「コミュニティを作ること」にさらに力を入れるようになりました。何か商売を始める場合、まず集客をして、コアなリピーターを獲得して、ファンクラブのような形を作ることができれば商売も軌道に乗りますが、そうなる前に資金面やメンタル面で限界が来て廃業してしまうというケースが多い。
私は子供の頃から商売人に囲まれて育ち、そのように失敗している方々をたくさん見てきました。そんな私はまず仲間作りに励みました。「自分は絵を描いて食べていきたい」とか、「ラーメン屋をやりたい」とか、「IT関連の会社を立ち上げたい」とか、そういう人たちを集めて、お互いに助け合う「華僑」のような形のコミュニティを作っていきました。
商売をスタートする段階で「お前がラーメン屋をやるんだったら毎日食べに行くよ」みたいな人たちが100人くらいいれば、軌道に乗りやすくなりますよね。私はそういう「チームビルディング」をベースにしたビジネスをひたすら30年以上やってきました。コミュニティを作り、誰かが何かをする際は、各分野の専門家が力や知恵を貸してくれるという仕組みです。