政治家は、国民に不人気な増税は、できればやりたくない。そのため、財務官僚は増税法案を国会提出させるために与党議員を説得し、国会審議では野党にも根回ししてフルに動く。増税法案が成立すれば与党からも霞が関の各省からも財務官僚の功績と認められる。
そして次の予算編成で財務省は「税率アップで来年度はこれだけ歳入増が予想される」と見積もって、歳出予算を増やす。増えた予算を各省に配分する際、「歳出が増やせるのは財務省の功績だ」と強い発言力を行使できるわけだ。他省は財務省に「うちの予算も増やして下さい」とお願いするしかない。実際の税収がわかるのは予算を使った後だから、増えたかどうかはどうでもいい。
財務省が本気で財政再建したいなら増税しないで経済成長で税収を増やすのが正攻法だ。しかし、それでは財務省の権限が強まらない。景気が上向いて税収が増えると、各省は財務省の功績とは考えずに「景気が上向いて税収が増えたなら予算を増やせ」と当然のように増額を要求する。
だから、財務官僚は政治家に「増税が必要です」とあの手この手で洗脳する。一番効き目が強いのはやはり予算。各省の予算を具体的にどの事業に配分するかの「箇所付け」をするにあたって、大臣や自民党三役など与党の実力者の地元に多く配分してやる。そうやって籠絡する。