130兆円もの運用資金を持つ世界最大の機関投資家でもあるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、「ESG投資」を重視していく方針を示した。ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス、統治)の頭文字だ。ESG投資は、この3つの項目を重視した経営をする企業に投資することを意味する。
「環境」は二酸化炭素の排出量削減や省エネ、再生可能エネルギーの活用などの取り組みだ。「社会」は女性活用やダイバーシティの推進、従業員の健康管理、長時間労働の削減やワークライフバランスの実現などが挙げられる。安倍政権の成長戦略のひとつである「働き方改革」とも一致し、重視する企業は増加傾向にある。
企業統治と訳される「ガバナンス」は、アベノミクスの成長戦略にコーポレートガバナンス改革が盛り込まれたことで注目を集めるようになった。たとえば、独立した社外取締役や様々な利害関係者が経営に加わりチェック機能を果たせば、独占的な支配や不正行為を防ぐ効果が期待できる。これまで企業統治の障害となっていた企業間の株式持合いも解消する動きが進んでおり、経営の透明化は進展しているといえる。
ESGを重視する投資姿勢は欧米の機関投資家や年金基金を中心に広がっており、日本でも前述したGPIFをはじめ、金融機関や保険会社などで投資の評価項目に加えるなどの動きがみられる。