三菱商事、三井物産が今期の業績を上方修正するなど財閥グループが好調だ。それは低迷する飲料業界にも影響している。
2016年のビール系飲料(ビール・発泡酒・新ジャンル)の課税出荷量が12年連続で過去最低を記録し、苦戦が伝えられた飲料でも財閥は強かった。
「三菱系のキリンホールディングスはパッケージを刷新した『生茶』や『午後の紅茶』が好調で、飲料事業が収益を牽引して通期の純利益が1割ほど増える見通しです。三井系のサッポロホールディングスはビール離れが進むなか、高級ビール『エビス』や第三のビールを伸ばしてビール類の販売数量が前期より増えた。営業利益は2期連続で増益となる見込みです」(経済部記者)
ここでも際立つのは、グループの強みだ。調味料や食品素材事業を手掛けるキリンの100%子会社、キリン協和フーズが三菱商事に譲渡されるなど、グループならではの共同事業や事業再編が可能である。
財閥系企業の底堅さは、日本の株価の成長剤であり、同時に安定剤でもあるということだ。
※週刊ポスト2017年2月24日号