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《上皇さまが支払われた相続税は約4億3000万円》宮内庁侍従に筋金入りの「資産運用のプロ」が着任 「皇室の相続」という難題に取り組む

上皇ご夫妻(写真/JMPA)

上皇ご夫妻(2024年5月、栃木県日光市。写真/JMPA)

 現在の保有銘柄の詳細は公表されていないが、前例からある程度推測はできる。かつて昭和天皇が保有していた銘柄には、日本銀行や三菱銀行、日本郵船、東京海上火災保険(社名はすべて当時)など、銀行やインフラ企業の名前が多く見られた。

 皇室財産は終戦後、GHQによって解体され、昭和天皇の手元に残ったのは約1500万円だったとされる。それが崩御までの約40年で冒頭のように20億円近くにまで増えたのは、質素倹約の精神のもと、国から支給された資金を堅実に運用していたことが大きいのだろう。

私的な所有物か由緒物かで変わる課税

 皇族方にとって悩ましいのは不動産の相続である。歴史的に、資産価値の高い一等地を所有するケースが多いため、相続税が高額になりがちなのだ。

 たとえば1987年に高松宮さまが亡くなられた際、東京・品川の約9900平米の私有地の相続税がとても支払えず、高松宮妃喜久子さまが土地の約9割を国に寄贈。さらに喜久子さまは、神奈川・葉山町にあった別邸を売却して相続税を捻出したという。

「もともと、皇居や赤坂御用地、3か所ある御用邸などは国有財産であるため、相続は発生しません。平成から令和にかけては、皇位とともに伝わるべき『三種の神器』や歴代天皇の肖像や直筆文書、皇居内の宮中三殿などの『由緒物』は贈与税が非課税とされました」(前出・皇室記者)

 だが、高松宮さまのように私有財産となれば別だ。

「現在90才の上皇さまも、慎重な運用で金融資産を増やされていると思います。また、在位中に海外から贈られた貴重な美術工芸品など、財産は山とあるでしょう。そうした物品が、私的な所有物か、由緒物かを仕分けるだけでも膨大な労力がかかる上、莫大な相続税が課せられることになれば、相続の大問題は避けられません」(前出・皇室記者)

 お金の専門家の下、事前準備が不可欠なのだろう。

※女性セブン2024年9月26日・10月3日号

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